チタン床は口腔内でやや黒ずんでくる感じや、表面的にやや柔らかく傷が付き易いとの欠点もあるようであり、口腔内を暗くしているかとも思われます。折角の優れた材料を有するチタン床のメリットをやや損なっているようにも考えられます。
金属アレルギーに対する懸念の軽減、耐食性・耐久性を向上、黄金色化による審美性の改善を目的として金属表面を窒化チタンで皮膜する(コーティング)という発想は、チタンが鋳造可能となった時点ですでにありました。いわゆる「チッ化処理」と言われるもので、これはチタンをアンモニア雰囲気で加熱するか、あるいはグロー放電を利用した窒素プラズマ(イオン化された窒素)の中に保持することによって得られるものです。その意味で、チタン以外ではチッ化チタンの皮膜は作れません。しかし表面上での反応なので、膜厚に限界があり、且つ色が出しにくいという欠点があります。
チッ化処理の持つ欠点を補い、更に進んでより審美性の高い補綴物を作成することができる方法を「イオンプレーディング」といいます。これはもともと装飾・耐磨耗用として開発された方式であります。